食道の解剖と機能
消化管は口腔から肛門までの管状器官であり、食物の消化吸収、運搬、便の生成、腸内細菌の恒常性維持、生体防御などを担っています。
食道は、長さ約40cm、頸部、胸部、腹部食道と大別され、3つの生理的狭窄部位(食道入口部、大動脈弓・気管分岐部、食道裂孔部)があります。
食道の組織は、内側から、粘膜が重層扁平上皮、筋層、外膜(漿膜を欠く)となっており、粘膜が重層扁平上皮であることと、漿膜を欠くことが、他の消化管(胃や腸などは、それぞれ円柱上皮、漿膜を有する)と異なっています。
食道がんは、重層扁平上皮にできるがんなので、放射線治療が奏功します。また、腫瘍マーカーは、腺癌特有のCEAなどは上がらず、扁平上皮癌に特有のSCCが上がりますし、漿膜がないので、容易に周辺臓器に直接浸潤していきます。
食道の機能は、口腔から食べ物、液体を引き継ぎ、嚥下により、胃に送る役目を担っています。食道・胃接合部には下部食道括約筋部があり、胃食道逆流防止に関与し、機能不全により逆流性食道炎などの原因となります。
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