胃癌・残胃再発治療方針のご相談

高齢者胃癌術後再発・化学療法(+分子標的治療薬)の相談

【質問】

 

はじめまして。このような形で相談してもよいものか
わからずでメッセージを失礼します。

 

当方50代女性、9年前乳がん初発(温存オペ ステージU抗がん剤・放射線)
3年前胃がん初発(ステージT3×1cm補助療法なし腹腔鏡オペにて2/3切除)
昨年乳がん局所再発(病理学的範囲4cm 全摘ハーセプチン単独を半年)

 

そして、胃がん三年検診のため胃カメラにて1cm以内の局所再発(いずれも印鑑細胞がん)をおこしました。
今から各種検査を行い切除するとは思うのですが
主治医は外科医ですが、腫瘍が小さいのでESDでいけるだろうとのことです。
しかし、あちこち軽いガンを発生する体質なので

 

いっそ全摘したほうがよいと思ってしまうのですが
おそらく、主治医はQOLを考えてのことと思うのですが
どのように思われますか?

 

【お答え】:心痛お察しいたします。今回の胃癌の内視鏡検査および病理検査より、日本胃癌学会 胃癌治療ガイドライン(医師用)第4版 2014に照合しますと、ESD(内視鏡的粘膜下層剥離術)の適応から逸脱します。

 

胃癌・残胃再発治療方針のご相談

 

胃癌・残胃再発治療方針のご相談

 

何が逸脱するかと言いますと、サイズの2cm以下は適合しますが、印鑑細胞がんの組織型は分化型ではなく、低分化型腺癌や、未分化型と同様に、悪性度の高い組織型となります。ただし、エビデンスを持った治療法以外にも、拡大適応として、非分化型腺癌に対しても内視鏡的治療を進めている施設もあるのも事実です。今回の再発形式は、吻合部近傍でない限り、3年前にもすでにがんがあった可能性があります。その時、拡大内視鏡やNBIまで行っていたでしょうか?胃癌はピロリ菌の除菌を行っていなければ、胃全体が発癌の母地となる可能性があります。

 

結論から申し上げますと、開腹による胃全摘が妥当と判断します。その理由は、1)胃癌治療ガイドラインに一致しない、2)ESD後の病理検査で追加外科治療の可能性がある(断端陽性や脈管侵襲)、3)粘膜下層までの浸潤であればリンパ節転移がすでに起こっている、あるいはリンパ管侵襲や静脈菅侵襲の可能性がある、4)1cm以下の胃癌であれば、ステージIAの可能性が高く、たとえ印鑑細胞がんとしても外科治療により根治の可能性が極めて高い、5)精神的に安心、6)初回腹腔鏡下胃切除でも再度腹腔鏡下の胃全摘は手技的に困難、などです。主治医の先生には、やんわりと、“胃癌治療ガイドラインを見たんですが”、“胃全摘で精神的にすっきりしたいんです”などと言われてみては、いかがでしょう。

 

最後に、あくまでもメールのみのお答えにつき、推論の域を超えないこと、“診察せずして診療すべからず”という大原則があること、最終判断は自己責任でということをご理解ください。

 

消化器(胃・大腸・肝臓・胆道・膵臓)がんに関してご相談ある時は、お問合せよりお願いします。直接連絡希望の時は、住所、氏名、電話番号まで記入の上、本文に直接連絡希望と明記ください。守秘は徹底します。守秘した上で、本ポータルサイトに掲載する可能性がある事、返答が遅れる可能性がある事、返答のない可能性がある事をご理解いただいた上で、ご相談ください。

 

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