急性胆嚢炎
急性胆嚢炎は、上腹部または右季肋部痛（右肋骨の下の痛み）、発熱を主な症状とし、しばしば黄疸を伴い、画像検査（腹部エコー/CT）で胆のうの緊満、腫大、壁肥厚など見られるものです。胆のう結石がある場合が多いですが、結石のない場合（無石胆のう炎）もあります。
腹痛、発熱、黄疸をCharcot's triad（シャルコー三徴）といいます。急性胆嚢炎と診断されたときに、胆のうが壊死に陥っていた場合、胆のうが破れていた場合、周囲に膿瘍（膿の塊）を作っていた場合は、通常緊急手術になりますし、開腹で原則行われます。そこまでに至ってない場合は、腹腔鏡下胆のう摘出術を緊急または早期（発症から５日以内）に行われることもありますし、一度散らして（絶食、点滴、抗生剤によって症状を抑えること）、待機的に手術を行うこともあります。
また、高齢者、ハイリスクな方などには、PTGBD（腹部エコーで経肝臓的にチューブを胆のう内に挿入すること）を行った後に、胆のう摘出をすることもあります。
急性胆嚢炎は日々診療で、外科医にとっては非常によく遭遇する急性腹症です。手術は一般的にはさほど困難ではないですが、しばしば非常に困難な場合があります。特に結石が胆のう菅近位にあり、炎症が3管合流部（胆のう菅と総肝管と総胆管が合流する部位）主体である場合、開腹歴のある場合などなど。
良性疾患といえども、重篤化すれば命を脅かす可能性も出てきます。急性胆道疾患の中で最も怖いのが、急性閉塞性化膿性胆管炎です。これは総胆管結石が乳頭部に陥頓し、胆汁に細菌が繁殖し、胆道内圧が高まることで、細菌が血中に移行し、容易に敗血症へと移行します。上記のシャルコー三徴に加え、意識障害とショック（血圧が著しく低くなること）が加わりレイノルズの五徴となります。
こうなった場合は、直ちに内視鏡的胆道ドレナージ（内視鏡で十二指腸乳頭部を切開した上で、チューブを挿入する）が必要となります。これが遅れると、しばしば命を落とします。
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