膵臓の解剖と機能
【膵臓、pancreas】：膵臓は、胃の裏側の後腹膜腔に位置し、長さ約15cm、厚さ約2cm、バナナ状、或は明太のような形の臓器です。重さは約100g。頭部（門脈の右側）、体部、尾部に区分けされます。膵管は膵液を十二指腸に流出する経路であり、主膵管が副膵管を分岐した後、総胆管と合流してVater乳頭部に開口します
組織学的には、外分泌腺と内分泌腺からなります。外分泌腺は、膵酵素を分泌する腺房細胞、水・重炭酸を分泌する膵管上皮細胞からなります。腺房の所々の間隙には島状のランゲルハンス島が点在し、ランゲルハンス島は内分泌腺であり、その中にはα細胞、β細胞、δ（デルタ）細胞が存在しています。
島に占める割合 分泌物質 作用
α細胞 15-20% グルカゴン 血糖値↑
β細胞 60-70% インスリン 血糖値↓
δ細胞 5% ソマトスタチン ホルモン分泌抑制
膵液はアルカリ性、無色透明で、糖質と蛋白質を中間消化産物まで、脂質を最終消化産物まで消化する。膵液中の消化酵素は、膵アミラーゼ（炭水化物を分解する）、トリプシン及びキモトリプシン（ポリペプチドを加水分解により低分子化する）、エラスターゼ（エラスチンを分解する）、膵リパーゼ（中性脂肪を遊離脂肪酸とモノグリセリドに分解する）がある。
膵臓は、体内で血糖を唯一下げるホルモンのインスリンを分泌します。
膵臓がんが、何故予後が悪いかと言いますと、１）元々の生物学的悪性度（malignant potential）が極めて高い、２）周辺組織に浸潤を阻止する防御がないため、容易に周囲（前方、後方、門脈、動脈）に浸潤する、３）門脈系の静脈が、多数張り巡らされているため、容易に肝転移を起こしやすい、４）進行するまで症状が出にくい、などが主たる理由です。
膵臓は無くても生存は可能ですが、消化吸収能が著しく落ち、血糖のコントロールが極めて困難となります。
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