膵臓がん手術
膵臓がん手術は、がんの局在により大きく二つに分けられます。膵頭部がんに対する、膵頭十二指腸切除、膵体尾部がんに対する膵体尾部脾切除です。
膵頭部がんに対する膵頭十二指腸切除は、細分化しますと、1)標準型膵頭十二指腸切除(Pancreaticoduodenectomy、PD)、2)亜全胃温存膵頭十二指腸切除(
Subtotal stomach preserving pancreaticoduodenectomy、SSPPD)、3)幽門輪温存膵頭十二指腸切除(Pylorus-preserving pancreaticoduodenectom、PPPD)の3種類あります。
この3種類何が違うかと言いますと、胃の切除範囲です。1)は3分の1以上胃を切離します。2)は胃を肛門側2cm程切除します=ほぼすべての胃を温存します。3)は胃を全部温存します。日本を含めグローバルの変遷は、1)−3)−2)となっています。現在は、2)が主流となっています。
上記の画像のように、切除される臓器や器官は、膵臓の頭側3分の1以上、十二指腸全部、胆嚢、肝外胆管、空腸の一部(15cm程)となります。
これだけの臓器を切除しなければならないのは、膵頭部のみを切り取るのは、根治性に問題があり、手術が煩雑になることだからです。
これだけの臓器を切除したのちは、再建が必要となります。再建には1)食べ物の通り道(消化管再建)、2)胆汁の流れ道(胆道再建)、3)膵液の流れ道(膵再建)が必要となります。
この手術は切除と再建がほぼ同じくらいの時間かかります。膵頭十二指腸切除は、膵頭部がんに対する手術が、十二指腸乳頭部がんや遠位胆管がん、十二指腸がん、その他の腫瘍に対するPDより時間がかかります。
この理由は大きく二つあり、1)門脈合併切除を付加する必要がある場合が多いこと、2)随伴性膵炎を伴っていたりリンパ節郭清をしっかりすることです。通常6−8時間、長ければ12時間ほどかかることもあります。ちなみに、私はSSPPDで早いときは4時間程で終わります。手術が早く、出血量少なければ、明らかに術後の合併症は少なく、長期予後の向上にも期待できます。
膵頭十二指腸切除は、消化器外科医にとりまして、高難度肝胆膵手術となり、これが指導者なくイニシャチブを取り、問題なく完遂できれば、ある意味一人前の消化器外科医と言ってもいいと思います。
何故標準型膵頭十二指腸切除(PD)ー幽門輪温存膵頭十二指腸切除(PPPD)−亜全胃温存膵頭十二指腸切除(SSPPD)の流れになって来たかと言いますと、PDでは小胃症状(一度に多く食べられずに術後体重減少が目立ってきたこと)が出現したことと、H2ブロッカーやPPIなどの胃酸分泌抑制薬が出現し、胃酸分泌領域を多く含む胃前庭部を温存しても、術後胃潰瘍など起こさないことでPPPDに一斉にシフトしていきました。
ところがPPPDになると胃が全部温存されるのではありますが、幽門輪(胃と十二指腸の移行部の狭窄部)が温存することで胃内容排泄遅延という合併症がしばしば出てきました。これは、患者さんが食事をとっても胃がもたれる、吐くなどの症状出てきました。これに対しては、ガスモチンや六君子湯が効くこともありますが、術後の入院期間が長引き、患者さんがつらい思いをすることがしばしば出てきました。そこで、幽門輪を切除すれば、良いのではということとなりSSPPDにシフトしてきました。私は、現在SSPPDを第1選択としています。
膵体尾部脾切除は、膵体尾部がんの対する標準的手術です。これは再建がないため、PD系に比べると時間もそんなに長くはかからないです。ただ、これが可能な膵体尾部がんの割合ははっきり言ってそう多くはありません。膵体尾部がんは、膵頭十二指腸がんに比べ、自覚症状が出にくいです。背部痛や体重減少が出現して膵体尾部がんと診断されたときには、まず手術は不可能です。
この手術は、現在、脾動脈処理を先行し体部から尾側方向に切離を進めるRAMPS法が主流になりつつあります。この手法の最大のメリットは、経門脈性の肝転移を理論的に軽減できることと、周囲をしっかり切除できることです。私もこの手法で行っています。
膵臓がん手術の合併症として、怖いのは膵液瘻(スイエキロウ)です。膵再建や膵切離断端から膵液が漏れると、時として感染が併発し、非常にまれですが、動脈をも侵食し突然腹腔内動脈性出血に至ることもあります。したがって、膵臓がん手術を受ける時はいわゆるhigh volume centerで受けるほうが良いです。high volume centerでの手術の合併症、手術死亡率が低いことは明らかなエビデンスとなっています。
膵臓がん手術は、いかにしっかり切除しても、成績が上がらないことがはっきりわかってきました。化学療法、放射線治療(重粒子線や陽子線含む)を時に併用することで、徐々にではありますが5年生存率が上がってきています。
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