膵臓がんの予防、早期発見、症状、診断、治療

膵臓がん診断

(検査) 血液検査のキーポイントは、膵酵素(アミラーゼ、リパーゼ、エラスターゼ1)、膵頭部癌では、直接ビリルビンや胆道系酵素(ALP、γ-GTP)の上昇、HbA1c、血糖の急上昇、腫瘍マーカーCA19-9(約80%が陽性)、CEA(約50%が陽性)の上昇。

 

超音波検査(US)は膵がんのスクリーニングとして不可欠で、2cm以下の膵がんでも80%は指摘される。通常低エコーで、尾側の膵管拡張が発見契機となる。

 

膵臓がん診断のアルゴリズム

 

膵臓がん診断

 

次のステップとして、造影CTおよびMRI/MRCPが行われるが、造影CTでは、膵がんは線維組織が豊富な乏血性腫瘍であり、低吸収域(血流の少ない)腫瘍として描出される。さらに、進展度評価(周囲への浸潤、遠隔転移の有無)も可能。

 

MRIはCTとほぼ同様の意義をもつ。MRCPはERCPと同様の所見だが、膵管閉塞部より上流の評価も可能。これまでの検査で質的および進展度診断はほぼ可能である。

 

膵臓がん診断

 

必要に応じて(質的診断に迷うときや、ステージングをより精密に行うため)、

 

1) EUS(endoscopic ultrasonography、超音波内視鏡検査):腫瘍の進展、血管(門脈や動脈)浸潤の評価や、EUS下生検(EUS-FNA)により組織診が行われる。

 

2) ERCP(endoscopic retrograde cholangio-pancreatography、内視鏡的逆行性胆道膵管造影)により細胞診や膵管生検による病理学的診断が行われる。

 

3) PETも膵癌診療ガイドラインで推奨されている。

 

4) IDUS(intraductal ultrasonography、管腔内超音波検査):ERCP下に、胆管や膵管に細長い管状の超音波を入れ、精細な超音波画像を得る方法。

 

5) POPS(per oral pancreatoscopy、経口的膵管内視鏡検査):膵管内に細径スコープを挿入し直接観察する方法。
などの検査が行われる。ただし、上記の検査は、時間もかかり、体に負担のある検査も多いため、世界的にはもちろん、日本でも省略される傾向にある。

 

膵臓がんの診断ツールにはいろいろなものがありますが、高性能の造影CTだけでも良いという報告もあります。典型的な膵臓がんであれば、高性能造影CTで質的・進展度診断および切除可能か否かが判別できるようになってきました。

 

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