膵がん治療
治療は基本的に膵癌診療ガイドラインに基づき行われる。ステージI～IIIまでは外科治療にほぼ異論はないが、問題はステージIVaの取り扱いである。ステージIVaの中には切除可能と切除不能があり、その見極めが困難な時があり、審査腹腔鏡（まずは腹腔鏡で観察して、最終進行度を決定する）まで行われることがある。切除不能膵癌であれば、化学（放射線）療法となる。放射線療法が付加されるケースは、膵癌に高率にみられる肝転移などの遠隔転移がない場合に限られる。
（外科治療） 膵頭部がんに対しては、（通常型、亜全胃温存、幽門輪温存）膵頭十二指腸切除（pancreatoduodenostomy、PD）が行われる。膵がんに対するPDは、切除の見極め、門脈合併切除の率が高い、随伴性膵炎を伴っている、などから困難なPDになるケースが多い。私も約40%は門脈合併切除を行った。膵体尾部がんに対しては、膵体尾部脾切除が行われる。以前は、拡大郭清（しっかりと所属リンパ節を切除する）が理想的な手術と思われていたが、近年これは否定された。
（化学療法） TS-1とGEM（ジェムザール）がゴールドスタンダードである。これらの薬剤は予後延長に間違いなく寄与している。分子標的薬エルロチニブも2011年から保険収載された。
（予後） 膵がんは、元々悪性度が高いうえに、膵臓が周囲組織に乏しいため、容易に浸潤し、さらに経門脈的肝転移を早期から起こすため、最も難治で予後の悪いがんで、5年生存率は未だ10%未満である。ステージI（腫瘍径2cm以下）で5年生存率約40%、根治が5割以上を期待できるのは、腫瘍径1cm未満の上皮内癌か微小浸潤癌である。
免疫療法の施行率が一番高いこと、死亡者数が増え続けていること、助かれば、本当にラッキー、それが膵がんです。
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