手術の基本
手術の基本操作は、切る（切離）、剥がす（剥離）、焼く（凝固、焼灼）、結ぶ（結紮）、縫う（縫合）の五つで、これらの繰り返しで、ほぼすべての手術が成り立ちます。
切離の器具としては、メス、鋏（はさみ）、電気メス、超音波凝固切開装置などがあります。皮膚や血管を切るときは、メスや鋏を使い、組織を切るときは、出血を抑えるために、電気メスや超音波凝固切開装置を使います。
剥がす操作には、鋭的と鈍的操作があります。鋭的操作とは、熱を加えることなく、無血管野を切っていくこと。鈍的操作とは、剥離層を確認して、ツッペルやペアン鉗子など使い、剥がすことです。
焼く操作は、小さな血管を含む組織を切り離すためには欠かせません。焼灼（しょうしゃく）は、止血と共に、がんを死滅させる効果があります。原発性肝がんに対する焼灼（ラジオ波焼灼、マイクロ波焼灼）はその典型例です。
結紮は、外科医の基本です。例えば、麻雀のように、一人でも遅いとリズムとテンポが悪くなります。結紮が下手だと、一緒に手術に参加する外科医から信頼されません。結紮が不確実ですと、手術後出血し、再開腹止血に至ることもあります。若い外科医は暇さえあれば、よく練習しています。
縫合は、患者さんは皮膚の見た目の縫合を気にする傾向にありますが、最も大事なのは、おなかの中の血管吻合や、各種臓器の再建の縫合・吻合です。これらがうまくいかないときは、重篤な合併症につながり、時に手術死亡に至ります。
手術の五つの基本操作の精度、速さにより手術そのもののクオリティが高まります。
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