適切な体重維持
日本では、「体重（kg）÷身長（ｍ）÷身長（ｍ）」によって算出されるBMI（Body Mass Index：体格指数）が25以上になると「肥満」とされ（日本肥満学会「肥満症診断基準2011」による）、肥満の解消は糖尿病、高血圧、脂質異常症などの改善に効果があることが知られています。
肥満とがんの関係については、肥満は閉経後乳がんのリスクを上げることが「確実」、大腸がんおよび肝がんの発生リスクを上げることが「ほぼ確実」とされています（科学的根拠に基づく発がん性・がん予防効果の評価とがん予防ガイドライン提言に関する研究「肥満指数（BMI）と乳がんリスク」、「肥満指数（BMI）と大腸がんリスク」 、「肥満と肝がんリスク」参照）。
肥満と乳がんはの関連は、乳がん発生のプロモーターとなりうるエストロゲンが閉経前の女性では卵巣で産生されるのに対し、閉経後では主に脂肪組織において産生されることなります。つまり、脂肪組織の多い肥満の人は産生されるエストロゲンが多くなり、これが乳がん発生のプロモーターとなてくるわけです。
肥満と大腸がんの関連は、大腸がんの原因に高脂肪食と低繊維食があることは周知の事実で、これらの食生活は肥満への第１歩になります。当然大腸がんリスクも高まります。
肥満と肝がんの関連は、非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)が追加的なリスク要因として注目されています。NASHは、過度のアルコール摂取がないにもかかわらず起こる脂肪肝による重度の炎症であり、肥満や2型糖尿病にともなって発症することが知られています。こうした背景の中、過体重・肥満と肝がんの関係が調査され、エビデンスが蓄積されて来ました。
やせすぎは、全死亡およびがん死亡のリスクを上げます。
BMIと全死亡のリスク関連では、男女ともに、肥満の人よりも「やせ」の人のほうがリスクが高い「逆J字形」の関連がみられ、男女ともBMI21〜27あたりがもっともリスクが低いことがわかります。
BMIとがん死亡リスクの関連では、男性では肥満の人よりも、「やせ」の人のほうがリスクが高い「逆J字形」の関連がみられ、特にBMI21未満の人は、同23〜24.9のグループに比べてがん死亡リスクが1.23倍に、さらにBMI19を下回ると1.44倍に上昇することがわかります。女性ではBMI30以上の肥満でのみリスクの上昇がみられ、同23〜24.9のグループに比べて1.25倍になる。
以上より、やせすぎは絶対よろしくなく、男女ともに少し肉付きの良い人が、総じて長生きできるのかなと思います。
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