身体の異常に気づいたら、すぐに受診
がんが増殖するときに、正常細胞から栄養を横取りするという現象が生じてきます。最終的にはがん悪液質というものとなり、るい痩（るいそう、やせが著明となること）がみられるのが、がんの一般的な末期症状です。
ここでは、各種がんの主な臨床症状について解説します。
食道がん
熱いものが胸にしみる、進行してきますと嚥下困難（食べ物、特に固いものが飲み込みにくくなる）、嗄声（声がかすれること、腫瘍あるいは転移リンパ節が反回神経に浸潤することにより生じる）、体重減少が起こってきます。
胃がん
初期にはほとんど自覚症状はありません。進行してきますと上腹部の痛みや不快感、食欲不振、吐き気、食習慣の変化などでてきます。胃十二指腸潰瘍でも上腹部の痛みが起こりますが、その際は空腹時に起こることが多いようです。体重減少も進行胃がんでは起こってきます。
肺がん
肺がんは難治性の咳、血痰、息切れ、嗄声、喘鳴（ぜんめい：息をするときにゼーゼー音がする）など進行するにつれ出現してきます。ただし、末しょう型肺がんでは症状が出現しにくいです。 咳、痰、息切れなどは、他の呼吸器疾患でも出現してきますが、ヘビースモーカーかつ４０歳以上は迷わず医療機関受診を！
乳がん
自己触診で硬いしこりを乳房に蝕知した場合は、迷わず医療機関受診を。乳房の皮膚異常、血性乳頭分泌液なども乳がんの症状です。
子宮がん
子宮頸がんでは、月経時以外の出血や性交時の出血、疼痛。日常と違ったおりものが増える、異臭がする、月経異常など。子宮体がんでは、閉経後に少量ずつ長く続く出血など。
大腸がん
左側結腸ー直腸がんでは、血便や便柱の狭小化（便が細くなること）、右側結腸では排便異常（下痢と便秘を繰り返す）、おなかが張るなど。腹痛、貧血、体重減少などは全大腸で進行するにつれ見られてきます。よく聞くのは、「最近、排便時にトイレットペーパーに血液が付着するけれども、痔と思っていました」です。この場合、必ず医療機関受診を。
肝がん
肝がんはある程度進行しても、ほとんど自覚症状が出ません。背景のウイルス性肝炎の進行度（慢性肝炎から肝硬変）に伴う随伴症状（全身倦怠感、腹水、黄疸など）が、自覚症状としては主体となってきます。まれに、原発性肝がんは破裂することがあります。そのときは急性発症の腹痛が出ます。時にショックバイタルになることもあります。
胆道がん
胆管にがんが生じると、黄疸（まず眼球結膜に、次に全身）が進行に応じて症状となります。いわゆる閉塞性黄疸は、その前に褐色尿が一般的に出てきます。灰白色便（ウサギの糞のような白い便）、全身掻痒感（全身のかゆみ）も出てきます。胆のうがんは、ある程度進行しないと症状は出てきませんし、その局在によっても症状発現は違ってきます。
膵臓がん
膵臓がんは、膵頭部に発生すれば、膵頭部領域がん（遠位胆管がん、十二指腸がん、十二指腸乳頭部がん含む）で一連の症状として起こる閉塞性黄疸が生じてきます。膵体尾部に発生すれば、腹痛、背部痛、体重減少、糖尿病の急性増悪など出てきます。
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